新型コロナウイルス感染症が高齢者の生活・健康に与えた影響調査の結果概要2020年度調査報告 千葉大学予防医学センター社会予防医学研究部門教授 国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センター老年学評価研究部長 日本老年学的評価研究(JAGES)機構代表理事 近藤克則 分析担当 日本福祉大学 横山由香里 本調査では、合計6000通の調査票を発送し、5182通の回答を得られた。返却された調査票のうち、回答者の年齢が65歳未満であったケースが8通含まれていたことから、回収数は5174通となった。調査は3期に分けて2000通ずつ発送しており、第1期の2020年12月は1699通、第2期の2021年1月は1753通、第3期の2021年2月は1722通の回答があった。 本報告書では、分析の際に重要となる項目において、欠損あるいは不整合が認められたものを除外し、最終的な分析対象数を4733通とした。除外理由は年齢無回答が50人、性別無回答が51人、年齢±4歳が16人、性別不一致が21人、介護・介助が必要が279人、無回答が138人となっている。このうち、16人は理由が重複している。 分析対象者の男女比はほぼ同等で、平均年齢は75.2歳で標準偏差が6.1歳であった。配偶者ありは69.2%で、独居者は20.6%であった。 本調査のねらいは、1どのような属性の高齢者がコロナによって行動変容に至ったか・至らなかったか、2自粛生活による社会参加や運動量の減少がうつや慢性疾患、要介護等のリスクをどの程度高めたか、3インターネットを使って高齢者の孤立をどの程度解消できるか、4高齢者は新型コロナに関する情報をどこから得ているのか、5どのような属性の高齢者が虐待や詐欺被害に遭いやすいか、であった。 ねらいの1つ目、高齢者の行動変容について検証した。項目1読書、絵画、音楽鑑賞など一人でできる自宅内での趣味の頻度は、コロナ流行以前は週1回未満が43.4%、週1回以上が39.5%、欠損値が17.1%で、コロナ流行中では週1回未満が42.6%、週1回以上が38.0%、欠損値が19.4%であった。項目2外出(畑や隣近所へ行く、買い物、通院などを含む)の頻度は、コロナ流行以前では週1回未満が14.7%、週1回以上が74.7%、欠損値が10.7%で、コロナ流行中では週1回未満が19.3%、週1回以上が68.6%、欠損値が12.1%であった。項目3友人・知人と対面で会う頻度は、コロナ流行以前では週1回未満が52.0%、週1回以上が35.7%、欠損値が12.4%で、コロナ流行中では週1回未満が65.5%、週1回以上が20.2%、欠損値が14.4%であった。 項目4ボランティアのグループへの参加の頻度は、コロナ流行以前は月1回未満が72.8%、月1回以上が10.7%、欠損値が16.5%で、コロナ流行中では月1回未満が76.1%、月1回以上が6.1%、欠損値が17.8%であった。項目5スポーツ関係のグループやクラブへの参加の頻度は、コロナ流行以前は月1回未満が59.4%、月1回以上が25.9%、欠損値が14.7%で、コロナ流行中では月1回未満が69.9%、月1回以上が13.9%、欠損値が16.2%であった。項目6趣味関係のグループへの参加の頻度は、コロナ流行以前は月1回未満が60.5%、月1回以上が24.9%、欠損値が14.6%で、コロナ流行中では月1回未満が72.7%、月1回以上が11.2%、欠損値が16.1%であった。項目7学習・教養サークルへの参加の頻度は、コロナ流行以前は月1回未満が74.8%、月1回以上が8.4%、欠損値が16.8%で、コロナ流行中では月1回未満が78.7%、月1回以上が3.6%、欠損値が17.7%であった。項目8特技や経験を他者に伝える活動の頻度は、コロナ流行以前は月1回未満が78.4%、月1回以上が4.6%、欠損値が16.9%で、コロナ流行中では月1回未満が79.5%、月1回以上が2.6%、欠損値が17.9%であった。項目9健康体操やサロンなどの介護予防のための通いの場への参加の頻度は、コロナ流行以前は月1回未満が76.3%、月1回以上が7.5%、欠損値が16.1%で、コロナ流行中では月1回未満が79.8%、月1回以上が3.4%、欠損値が16.8%であった。 これら項目1から9における活動頻度の減少について分析するため、コロナ流行以前に月1回以上または週1回以上の頻度で各項目の活動を行っていた人が、流行期においてその活動を変わらず月1回以上または週1回以上の頻度で実施しているか、もしくは月1回未満または週1回未満となったかを整理した。流行期も変わらず月1回以上または週1回以上の頻度で行っていれば「維持」、月1回未満または週1回未満となったら「減少」とする。 項目1自宅内での趣味は、1821人中1653人(90.8%)が維持、168人(9.2%)が減少であった。項目2外出の変化は、3455人中3154人(91.3%)が維持、301人(8.7%)が減少であった。項目3友人・知人と対面は、1620人中907人(56.0%)が維持、713人(44.0%)が減少であった。項目4ボランティアは、492人中282人(57.3%)が維持、210人(42.7%)が減少であった。項目5スポーツは、1196人中642人(53.7%)が維持、554人(46.3%)が減少であった。項目6趣味は、1136人中519人(45.7%)が維持、617人(54.3%)が減少であった。項目7学習・教養サークルは、388人中166人(42.8%)が維持、222人(57.2%)が減少であった。項目8特技や経験を伝える活動は、211人中121人(57.3%)が維持、90人(42.7%)が減少であった。項目9通いの場は、350人中153人(43.7%)が維持、197人(56.3%)が減少であった。 本調査のねらい2つ目、自粛生活による社会参加や運動量の減少がうつや慢性疾患、要介護等のリスクをどの程度高めたかについて検証した。検証は3つのアウトカムに基づいて行った。1つ目は、要支援・要介護リスクである。これは全国版要支援・要介護評価尺度を用いて48点中17点以上を要支援・要介護リスクありと定義した(引用:2018年辻ほか)。2つ目は、フレイルである。基本チェックリストを用いて25点中8点以上をフレイルと定義した(引用:2017年佐竹ほか)。3つ目は、うつである。ジェリアトリックディプレッションケール (GDS) を用いて、15点中5点以上を抑うつ傾向と定義した(引用:1991年バークほか)。 3つの健康アウトカムにおいて、要支援・要介護について17点以上に該当し、リスクありと判断されたのは45.4%、フレイルについて8点以上に該当し、フレイルが疑われる者は23.4%、うつについてGDS15点中5点から9点で抑うつ傾向が疑われるのは19.5%、10点以上で抑うつ状態が疑われるのは5.7%となった。 要支援・要介護リスク、フレイル、うつといった3つの健康アウトカムと、先ほどコロナ前後での頻度を整理した9つの項目との関係性についても分析をした。まず、要支援・要介護リスクについて、活動頻度を維持している方を1とした場合、各項目で活動頻度が「減少」した方のリスクは次のとおりとなった。項目1自宅内での趣味0.7倍、項目2外出1.3倍、項目3友人・知人と対面1.9倍、項目4ボランティア1.3倍、項目5スポーツ1.0倍、項目6趣味1.0倍、項目7学習・教養サークル5.1倍、項目8特技や経験を伝える活動1.1倍、項目9通いの場1.1倍、統計上の有意差が認められたのは項目3友人・知人と対面の1.9倍と項目7学習・教養サークルの5.1倍であった。これら2つの項目について、コロナで活動頻度が減った人は、活動を維持した人に比べ、要支援・要介護リスクが高まっている。 次にフレイルのリスクについて、各活動頻度を維持している方を1とした場合、各項目で活動頻度が「減少」した方のリスクは次のとおり。項目1自宅内での趣味2.1倍、項目2外出1.5倍、項目3友人・知人と対面1.1倍、項目4ボランティア1.0倍、項目5スポーツ1.4倍、項目6趣味1.0倍、項目7学習・教養サークル0.9倍、項目8特技や経験を伝える活動2.4倍、項目9通いの場1.2倍、統計上の有意差が認められたのは項目1自宅内での趣味の2.1倍と項目2外出の1.5倍であった。これら2つの項目について、コロナで活動頻度が減った人は、活動を維持した人に比べ、フレイルのリスクが高まっている。 次にうつのリスクについて、各活動頻度を維持している方を1とした場合、各項目で活動頻度が「減少」した方のリスクを示す。項目1自宅内での趣味1.9倍、項目2外出0.9倍、項目3友人・知人と対面1.4倍、項目4ボランティア1.3倍、項目5スポーツ1.7倍、項目6趣味1.7倍、項目7学習・教養サークル1.8倍、項目8特技や経験を伝える活動1.4倍、項目9通いの場2.6倍、統計上の有意差が認められたのは項目1自宅内での趣味の1.9倍、項目3友人・知人と対面の1.4倍、項目5スポーツの1.7倍、項目6趣味の1.7倍、項目9通いの場の2.6倍であった。これら5つの項目について、コロナで活動頻度が減った人は、活動を維持した人に比べ、うつのリスクが高まっている。 まとめると、 友人・知人との対面、学習・教養サークルへの参加が減った高齢者は、要支援・要介護リスクが1.9倍から5.1倍高く、自宅内での趣味、外出が減った人は、フレイルのリスクが1.5倍から2.1倍高く、 自宅内での趣味、友人・知人との対面、スポーツ、趣味、通いの場への参加が減った高齢者は、うつのリスクが1.4倍から2.6倍高くなった。このことは、自粛生活による社会参加や運動量の減少は要支援・要介護リスクやフレイル・うつのリスクを高める可能性を示唆している。 本調査を進める中で着目した行動変容として、項目3友人・知人との対面が挙げられる。着目した理由は「要支援・要介護リスクとうつに関連していること」、「コロナ禍で減少した人の割合が多いこと」である。項目1自宅内の趣味も健康リスクとの関連があったが、減少割合が多くないため割愛する。項目7学習・教養サークルは相対リスクが高かったものの、信頼区間も広かったので割愛する。項目9通いの場も相対リスクが高かったが、行動変容要員が高齢者側ではなく通いの場が中止になったことによる可能性が高いため割愛する。 友人・知人との対面が減少した人の割合は、男性に比べて女性が2.7倍、65から69歳に比べ80から84歳が0.6倍、 教育歴9年未満に比べ13年以上が1.5倍、既婚者の方はそうでない人に比べて1.5倍、就労者はそうでない人に比べて0.6倍という結果となった。今後も対面での交流機会を控える生活が続くと考えられるため、補完アプローチを検討していくことが必要である。 本調査のねらい3つ目「インターネットを使って高齢者の孤立をどの程度解消できるか」について検証した。①スマートフォン②タブレット③パソコン④携帯電話の4つのツールいずれかを所持している方のうつのリスクを1とした場合、いずれも所持していない方のうつの相対リスクは1.4倍となった。次に①スマホ所持者に着目すると、所持していない方のうつのリスクを1とした場合、所持している方のうつの相対リスクは0.7倍となった。次にインターネットへのアクセスができない携帯電話のみを持っているか、4つのツールいずれも所持しない方を同じグループとしてうつのリスクを1とした場合、①スマホ②タブレット③パソコンのいずれかを所持している方のうつの相対リスクは0.7倍となった。 次に性別および年齢ごとの各端末ごとの所持率に関する調査結果を示す。まず男性について。65から69歳の携帯電話の所持率24.9%、スマートフォン76.0%、タブレット19.1%、パソコン55.5%、いずれも所有していない2.1%であった。70から74歳の携帯電話の所持率33.6%、スマートフォン62.7%、タブレット15.5%、パソコン46.8%、いずれも所有していない4.7%であった。75から79歳の携帯電話の所持率40.7%、スマートフォン47.7%、タブレット9.0%、パソコン39.3%、いずれも所有していない10.5%であった。80から84歳の携帯電話の所持率44.0%、スマートフォン36.6%、タブレット8.7%、パソコン32.5%、いずれも所有していない14.2%であった。85歳以上の携帯電話の所持率42.7%、スマートフォン28.7%、タブレット7.3%、パソコン25.8%、いずれも所有していない27.0%であった。男性全体では、携帯電話の所持率36.2%、スマートフォン54.4%、タブレット12.8%、パソコン42.5%、いずれも所有していない9.0%であった。次に女性について。65から69歳の携帯電話の所持率16.9%、スマートフォン79.9%、タブレット15.8%、パソコン33.3%、いずれも所有していない3.6%であった。70から74歳の携帯電話の所持率27.9%、スマートフォン66.3%、タブレット12.1%、パソコン24.6%、いずれも所有していない6.3%であった。75から79歳の携帯電話の所持率39.9%、スマートフォン51.1%、タブレット12.2%、パソコン14.0%、いずれも所有していない9.9%であった。80から84歳の携帯電話の所持率45.1%、スマートフォン38.3%、タブレット6.0%、パソコン13.8%、いずれも所有していない16.7%であった。85歳以上の携帯電話の所持率44.3%、スマートフォン21.5%、タブレット3.8%、パソコン8.9%、いずれも所有していない34.8%であった。女性全体では、携帯電話の所持率32.8%、スマートフォン57.4%、タブレット11.3%、パソコン20.7%、いずれも所有していない10.4%であった。男女合わせた合計では、携帯電話が34.4%、スマートフォン56.0%、タブレット12.0%、パソコン31.3%、いずれも所有していない9.7%であった。 次にインターネットへのアクセシビリティを確認するため、スマホ、タブレット、パソコンの3つのうち、いくつの媒体を所持しているかを調査したところ、次のような結果となった。3つの媒体のうち1つを所持しているが36.6%、2つを所持しているが21.6%、3つとも所持しているが5.2%、ガラケーのみ所持しているが23.2%、いずれも所持していないが9.3%、無回答が4.1%であった。3つの媒体のうちいずれかを所持しているとの回答をされた方のうち、84.7%がスマホを所有していた。 次にどのような属性の方がスマホを所持しているかを検証した。1つ目、女性は男性よりも1.4倍の割合で所持している。2つ目、年齢が若い方が所持率が高い。65から69歳の方と比べ、70から74歳は0.6倍、75から79歳は0.4倍、80から84歳は0.2倍、85歳以上は0.2倍となっている。3つ目、高学歴の方が所持率が高い。教育歴9年以下の人に比べ、教育歴が10年から12年で1.6倍、13年以上で2.1倍となった。4つ目、既婚者はそうでない人の1.3倍の割合が所持していた。5つ目、就労している方はそうでない人の1.4倍が所持していた。 次に、どのような属性の高齢者がインターネットへの接続が可能なスマホ、タブレット、パソコンのいずれかを所持しているかを検証した。1つ目、性別での差はない。2つ目、年齢が若い方が所持率が高い。65から69歳の方と比べ、70から74歳は0.5倍、75から79歳は0.3倍、80から84歳は0.2倍、85歳以上は0.1倍となっている。3つ目、高学歴の方が所持率が高い。教育歴9年以下の人に比べ、教育歴が10年から12年で2.2倍、13年以上で3.4倍となった。4つ目、既婚者はそうでない人の1.4倍が所持していた。5つ目、就労している方はそうでない人の1.4倍が所持していた。 次にコロナ流行後の非対面交流が抑うつ傾向リスクにどのような影響を与えたかを検証した。コロナ流行後、非対面交流が増えていない方のうつのリスクを1とした場合、手紙・ハガキでの交流が増加した方はうつのリスクが0.66倍となった。同様に音声のみの通話が増加した人は0.80倍、ビデオ通話が増えた人は0.53倍、メールやチャット等が増えた人は0.74倍、フェイスブック等のソーシャルメディアでの交流が増えた人は0.73倍、その他の交流が増えた人は1.29倍という結果となった。これらの結果の内、統計上の有意差が認められたのは手紙・ハガキ、音声のみ通話、ビデオ通話、メール・チャット等の4つであり、抑うつ傾向リスクが0.5倍から0.8倍と低くなっている コロナ流行後に利用が増えた交通手段としては、特になしが49.2%、音声のみの通話が39.0%、メール・チャット等が24.7%、ビデオ通話が8.0%、手紙・ハガキが5.3%、フェイスブック等のソーシャルメディアが1.8%、その他が0.8%となっている。 次にコロナ流行前後での通話の頻度に関する調査結果を示す。音声のみ通話については、週4回以上は流行前24.2%、現在26.2%、週2から3回が流行前20.7%、現在20.2%、週1回が流行前13.1%、現在13.1%、月1から3回が流行前19.5%、現在18.8%、年に数回が流行前8.1%、現在7.3%、していないが流行前14.3%、現在14.4%であった。ビデオ通話については、週4回以上は流行前0.9%、現在1.5%、週2から3回が流行前1.7%、現在2.4%、週1回が流行前1.9%、現在2.8%、月1から3回が流行前4.6%、現在6.6%、年に数回が流行前7.4%、現在8.2%、していないが流行前83.5%、現在78.4%であった。 次に音声通話の相手に関する調査結果を示す。友人49.8%、別居の娘40.3%、別居の孫、兄弟・親戚39.9%、別居の息子28.8%、同居の家族24.9%、グループ仲間17.6%、別居の孫16.5%、使っていない8.9%、その他8.0%、近隣の人7.5%、別居の子の配偶者5.9%であった。 次にビデオ通話の相手に関する調査結果を示す。使っていない76.2%、別居の孫11.9%、別居の娘11.1%、別居の息子6.5%、友人3.2%、兄弟・親戚3.2%、グループ仲間2.1%、その他1.9%、別居の子の配偶者1.9%、同居の家族1.5%、近隣の人0.2%であった。 次にビデオ通話の導入における課題を示す。特になし43.2%、そもそも使いたいと思わない29.1%、わからない11.1%、器材の用意・維持費にお金が掛かる10.8%、初期設定や準備などのサポートなし10.4%、セキュリティー上の不安7.2%、相手に顔が見えることに抵抗がある3.6%、話せる相手がいない3.3%、その他1.4%であった。 まとめると、携帯電話やスマホ等、コミュニケーションツールを保持していない人は、ツールを保持している人に比べて抑うつのリスクが1.4倍である。新型コロナウイルスの流行後に非対面交流であった手紙・ハガキ、音声通話、ビデオ通話、メール・チャット等が増えた人は、抑うつ傾向リスクが0.5から0.8倍と低い。非対面交流が増えていない人は49.2%おり、この方たちに活用を促すことで、健康リスクを下げられる可能性が考えられる。 ねらいの4つ目、高齢者は新型コロナに関する情報をどこから得ているのかを検証した。新型コロナウイルスに関するテレビ番組を1日どれくらいみていたかを調査した結果、1時間未満22.1%、1時間から2時間46.3%、3時間から4時間24.3%、5時間以上7.3%であった。 次に緊急事態宣言中、最も参考にしていたメディアについての回答を示す。NHKのニュース番組75.3%、新聞68.6%、民放のニュース番組66.0%、民放の情報番組47.9%、NHKの情報番組40.3%、家族24.8%、自治体の広報誌21.0%、インターネット17.1%、ラジオ13.5%、友人13.0%、病院の医療スタッフ6.3%、週刊誌・雑誌5.2%、特になし1.3%であった。 次に自宅にいた間、欲しいと思った情報の調査結果を示す。感染予防の対策64.8%、コロナ感染の検査や治療施設の情報40.5%、免疫力を高める食事35.8%、体力を保つための運動方法27.9%、特になし17.1%、モバイル機器の使用方法4.1%、生活の相談窓口4.0%、オンラインコミュニティへの参加方法2.0%であった。 まとめると、新型コロナウイルスに関するテレビ番組の1日当たりの視聴時間は、3から4時間が24.3%、5時間以上が7.3%と長時間に及んでいた。 最も参考にしていたメディアはNHKのニュース番組で75.3%、続いて新聞68.6%や民放のニュース番組66.0%であった。自粛期間中、最も欲しかった情報は感染予防の対策に関するもので64.8%であった。 ねらいの5つ目、どのような属性の高齢者が虐待や詐欺被害に遭いやすいかを検証した。緊急事態宣言中(2020年4月から5月)に感じたり経験したりしたことについて調査を行ったところ、結果は次のとおりであった。特になし50.1%、親しい人が亡くなった18.0%、普段より眠れなくなった14.9%、詐欺のような怪しい電話・メール等があった12.9%、生活の規則が乱れた12.4%、マスクをしないなど普段と変わらない生活をする人に腹を立てた8.9%、外出するときに人の目が気になった8.8%、暴言を吐かれる・嫌味を言われる・長い間無視されるなどの自尊心を傷つけられたが56名で1.3%、預金や年金を了解なしに使ったり取り上げられたが8名で0.2%、殴られる・蹴られる・物を投げつけられる・閉じ込められるなどの身体的暴行を受けたが2名で0.0%であった。 詐欺のような怪しいメールや電話等があったと回答した574人は、なかったと回答した方と比較して、高齢であった、要支援・要介護リスクが高い、友人・知人と会う頻度が多いといった特徴がある。関連が認められなかった事柄は、同居者の有無、婚姻の有無、教育歴、就労状況、飲酒、喫煙、外出頻度。疾患有無、ADL、抑うつ傾向状態、フレイル、情緒的サポート受領、手段的サポート受領であった。 同様に、虐待と思われる経験をした高齢者63人は、そういった経験がなかったと回答した方と比較して、抑うつ傾向状態が高い、フレイル割合が高い、手段的サポート受領がいない割合が高いといった特徴があった。関連が認められなかった事柄は、性別、年齢、同居者の有無、婚姻の有無、教育歴、就労状況、飲酒、喫煙、外出頻度、疾患有無、ADL、要支援・要介護リスク、情緒的サポート受領、友人・知人と会う頻度であった。 まとめると、 詐欺のような怪しい電話やメール等があったとの回答は12.9%であった。実際には、詐欺被害に至っていないことが多いと考えられるが、こうした電話やメールが高齢な人において経験されていたことは、高齢な人ほどターゲットにされやすいことを表している。友人・知人に会う頻度が高い人では、「怪しい」と気づきやすく、こうした経験がある、との回答につながった可能性もある。また、66件(63名)が、虐待と思われる経験をしていた。虐待が疑われる人では、うつやフレイルが疑われる人が多く、手段的サポートが得られていない人も多かった。 名古屋市独自の調査として、インターネットで配信されている健康体操や介護予防に関する動画の視聴、オンライン講座の受講をした経験があるかを尋ねたところ、あるとの回答は6.1%であった。また、今後、インターネットで配信されている健康体操や介護予防に関する動画を利用したいかを尋ねたところ、利用したい10.8%、利用したいがインターネットを利用する環境がない7.2%、利用したいがインターネットの使い方がわからない14.9%、利用したくない50.0%、欠損値17.1%であった。 この結果を男女別に分析すると、インターネットで配信されている健康体操や介護予防に関する動画の視聴、オンライン講座の受講をした経験がある人は男性で6.2%、女性で6.1%となっている。今後、インターネットで配信されている健康体操や介護予防に関する動画を利用したいかは、利用したい男性12.7%・女性8.9%、利用したいがインターネットを利用する環境がない男性6.1%・女性8.2%、利用したいがインターネットの使い方がわからない男性14.6%・女性15.3%、利用したくない男性51.5%・48.7%、欠損値は男性15.2%、女性18.9%であった。 名古屋市独自項目として、コロナ流行以前に比べた心身機能の変化についても調査を行った。結果は、変化なし52.0%、体力が落ちた34.3%、歩くのが遅くなった23.9%、横になることが増えた15.7%、気力がなくなった12.8%、気分が落ち込むことが増えた11.7%、物忘れが増えた11.4%、その他2.4%、以前より元気になった1.1%であった。 この結果を男女別に分析すると、変化なし男性58.2%・女性46.1%、体力が落ちた男性31.6%・女性36.8%、歩くのが遅くなった22.4%・女性25.3%、横になることが増えた14.9%・女性16.5%、気力がなくなった男性9.1%・女性16.3%、気分が落ち込むことが増えた男性7.4%、女性15.8%、もの忘れが増えた男性10.6%・女性12.2%、その他男性1.6%・女性3.1%、以前より元気になった男性0.9%・女性1.3%であった。 身体機能の低下を変化なしと回答された方を1とした場合、体力が落ちたと回答した人の要支援・要介護リスクは2.8倍、歩くのが遅くなったと回答した人の要支援・要介護リスクは2.7倍であった。同様に、身体機能の低下を変化なしと回答された方を1とした場合、体力が落ちたと回答した人のフレイルの割合は3.5倍、歩くのが遅くなったと回答した人のフレイル割合は3.1倍であった。うつについても比較すると、体力が落ちたと回答した人は2.6倍、歩くのが遅くなったと回答した人は2.2倍であった。 コロナ禍における健康維持の取り組みについて、現在取り組んでいる、今後取り組みたいで調査したところ、結果は次のとおり。①屋外での運動を現在取り組んでいる47.4%、今後取り組みたい49.3%、②自宅での運動を現在取り組んでいる42.8%、今後取り組みたい38.7%、③人と連絡をとることを現在取り組んでいる30.6%、今後取り組みたい24.0%、④室内で少人数で集まる交流を現在取り組んでいる6.3%、今後取り組みたい8.5%、⑤屋外での人との交流を現在取り組んでいる5.5%、今後取り組みたい12.3%、⑥複数人とのビデオ通話での交流を現在取り組んでいる1.4%、今後取り組みたい1.5%、⑦その他について現在取り組んでいる4.4%、今後取り組みたい2.6%、⑧現在取り組んでいるものは特にない24.5%、今後取り組みたいものがない30.2%であった。 この結果の男女別のデータで整理したところ次のとおり。男性について。①屋外での運動を現在取り組んでいる49.1%、今後取り組みたい51.2%、②自宅での運動を現在取り組んでいる31.7%、今後取り組みたい35.9%、③人と連絡をとることを現在取り組んでいる13.9%、今後取り組みたい18.4%、④室内で少人数で集まる交流を現在取り組んでいる4.9%、今後取り組みたい3.5%、⑤屋外での人との交流を現在取り組んでいる10.2%、今後取り組みたい6.1%、⑥複数人とのビデオ通話での交流を現在取り組んでいる1.4%、今後取り組みたい1.1%、⑦その他について現在取り組んでいる2.9%、今後取り組みたい4.5%、⑧現在取り組んでいるものは特にない34.6%、今後取り組みたいものがない28.7%であった。 女性における結果は次のとおり。①屋外での運動を現在取り組んでいる49.5%、今後取り組みたい43.8%、②自宅での運動を現在取り組んでいる45.5%、今後取り組みたい49.3%、③人と連絡をとることを現在取り組んでいる33.7%、今後取り組みたい42.3%、④室内で少人数で集まる交流を現在取り組んでいる12.1%、今後取り組みたい9.0%、⑤屋外での人との交流を現在取り組んでいる14.4%、今後取り組みたい4.9%、⑥複数人とのビデオ通話での交流を現在取り組んでいる1.6%、今後取り組みたい1.6%、⑦その他について現在取り組んでいる2.2%、今後取り組みたい4.3%、⑧現在取り組んでいるものは特にない25.9%、今後取り組みたいものがない20.5%であった。 屋外での交流で、どのようなグループに参加しているかを調査したところ次のような結果となった。参加していない71.3%、ウォーキング・散歩8.7%、グランドゴルフ4.2%、ヨガ・太極拳3.1%、ラジオ体操2.6%、囲碁・将棋1.5%、野球・ソフトボール0.8%、ジョギング0.6%、その他14.9%であった。 この結果を男女別に整理すると次のとおり。参加していないが女性73.4%・男性69.1%、ウォーキング・散歩が女性7.8%・男性9.5%、グランドゴルフが女性3.4%・男性5.0%、ヨガ・太極拳が女性5.3%・男性0.9%、ラジオ体操が女性2.9%・男性2.2%、囲碁・将棋女性が0.3%・男性2.7%、野球・ソフトボールが女性0.0%・男性1.6%、ジョギングが女性0.4%・男性0.8%、その他が女性13.4%・男性16.4%であった。 屋外でのグループ交流に参加していない理由を調査したところ、興味がない44.9%、家族や友人と交流している30.1%、どこでどんな交流活動が行われているか分からない19.0%、家の近くに交流活動をする集まりがない12.1%、その他12.6%であった。 この結果を男女別に整理する次のとおり。興味がない男性54.8%・女性35.7%、家族や友人と交流している23.9%・女性35.9%、どこでどんな交流活動が行われているか分からない男性17.1%・女性20.8%、家の近くに交流活動をする集まりがない男性10.1%・女性14.0%、その他が男性10.3%・女性14.8%であった。 緊急事態宣言期間中の食料品や日用品の主な入手方法について聞いたところ、自分で出かけて買い物76.7%、家族等に買ってきてもらう19.8%、宅配サービスを利用2.2%、その他1.3%であった。 普段より頻度を減らしたりやめたりした行動について聞いたところ、次のような結果となった。外食72.5%、公共交通機関の利用44.1%、美術館・映画館の訪問42.7%、食料品・日用品以外の買い出し37.0%、縁日など地域の行事参加31.6%、スポーツジムなど屋内での運動22.9%、近隣住民との交流22.2%、食料品・日用品の買い出し19.7%、医療機関の受診(新型コロナ感染疑いを除く)16.6%、屋外での運動や散歩16.0%、特になし11.0%であった。 緊急事態宣言期間中の食料品や日用品の買い物で経験したことについて聞いたところ、次のような結果となった。必要な物が買えずに困った54.3%、買い物のために何軒もお店を回った36.8%、開店前から列に並んだ14.0%、近所の人から必要な物を分けてもらった2.8%、遠方の家族から必要な物を送ってもらった7.4%、そのようなことはなかった9.7%であった。 緊急事態宣言中にとっていた行動について聞いたところ、次のような結果となった。こまめに手洗いや手のアルコール消毒を行う91.1%、外出時にマスクを着用する98.1%、人が集まる場所を避ける77.0%、咳エチケット57.2%、こまめに部屋の換気又は除菌を行う52.0%、栄養のある食事をとる50.6%、ほかの人との間隔を最低2メートル空ける50.3%、ストレッチや運動を行う38.9%、外出自粛や外出時のマスクの着用を他人に勧める27.8%、持病の薬を多めに処方してもらう8.6%、オンライン診療を利用する1.2%、特になし0.4%であった。 普段よりも体調が悪い日が続くなど、あなた自身が新型コロナウイルスに感染しているかもしれないと感じたことがあるかという質問に対しては、はい11.3%、いいえ88.7%となった。新型コロナウイルス感染症の流行やそれに伴う宣言などによる収入への影響については、収入が減ったが13.8%、変わらないが85.7%、増えたが0.6%であった。